ソマリランドとは

地図に載っていない国ソマリランド
一体どんな所なのでしょうか?

ソマリランド簡単な歴史

1960年「イギリス領ソマリランド」(現在のソマリランド)と
「イタリア領ソマリランド(ソマリア)」(現在のソマリア)が合併
ソマリア共和国として独立
1969年バーレ元大統領による軍事独裁政治開始
1988年バーレ元大統領の独裁色がさらに高まりソマリア内戦本格化
反政府派が各地を抑える
1991年バーレ元大統領失脚、ソマリランド独立宣言

ソマリランド概要

面積 137,600平方キロメートル(北海道と東北地方を足したくらい)
人口約350万人(正確には分からず)
首都ハルゲイサ
通貨ソマリランドシリング
言語ソマリ語、アラビア語、英語
宗教イスラム教
産業畜産業

独自の政府や通貨を持ち、国として機能しているソマリランド。普通選挙により選出された大統領が内閣人事を指名します。複数政党制による民主化を実現し、国際NGO「Freedom House」によると、アフリカの角(アフリカ大陸北東部にあるサイの角に似た地域)で唯一の民主主義国家です。

未承認国家のソマリランドは国際的には「ソマリア自治区」。地図に載ることはありませんが、「ソマリア」の中を見てみると3つに分かれているのです。

この地図は、「アフリカを届ける」ことを目的にアフリカ54ヵ国の訪問を綴った旅記録ブログ「コジマ先生、アフリカへ行く」のこのページ用に作成されたものです。小島さん、楽しいブログと地図をありがとうございます。

世界には未承認でも国際支援や支持がある国もありますが、ソマリランドは「孤立無援」状態。教育、水アクセス、食料安全保障、医療サービスといった基本的ニーズが満たされず長年苦しんでいます。また近年続く干ばつで困窮する牧畜民が増加。低識字率、高失業率、国際支援がないといった苦境をさらに悪化させています。

ソマリランドを直接訪問した人が口にするのは、治安不安定なソマリアに比べ、ソマリランドは独立国家として平和な状態であることへの驚き。そして、困難に立ち向かい民主的に物事を解決し前に進もうとする人々の強い精神です。

1988年にソマリア内戦から逃れるためソマリランドを離れたボスウェルネス創立者マハディ。故郷に対するおもいを聞いてみました。

持続可能な開発、環境対策、フェアトレードでつくる
ソマリランドのより良い未来


― 1988年にソマリランドを離れた頃と今を比べて、どんな変化がありましたか?

「社会的、政治的な不正に立ち向かった10年の内戦の間にたくさんの血が流れました。ソマリランドが独立宣言をしたのはそんな内戦を経た1991年5月のこと。1960年に「British Protectorate of Somaliland(イギリス領ソマリランド)」と「Italian Somalia(イタリア領ソマリランド)」が合併して以来、社会、文化、経済、全セクターで政治的、社会的要求を求める声が高まりました。1969年に軍事独裁政治が始まり、情勢は悪化。80年代を通して、軍事政権はソマリランドの人たちに内戦の武力衝突で深刻な人権侵害を行ったのです。1988年5月、ソマリランドは完全に崩壊。実質上全人口にあたる400万人が国外へ逃れました。この概要ではソマリランド近代史の複雑さを表しているとは到底言えませんが、確実に言えるのは、この混乱の裏で私たちは社会経済の開発と政治的安定を求め続けてきたということです。独立から30年(2021年現在)、ソマリランドは法規範、環境法やポリシー整備による環境対策など色んな面で長足の進歩を遂げたと言えます。この開発によって、ソマリランドの人たちが主体性を持って政治プロセスや公共政策の整備に関わることが可能になったのです。これはすごいことです。」

ソマリランドのAhmed M. Mahamoud Silanyo大統領(2011年当時)にボスウェルネスを紹介するマハディ

― アフリカの角は干ばつの影響がひどいと報道されています。ソマリランドはどんな状況ですか?

「干ばつは周期的に起こっていて、人々の暮らし、環境、作物の生産にとてつもなく大きな困難を引き起こしています。特に田舎の村では、重大な貧困問題につながっています。変化する気候の中でどうやって国の安定性を保っていくのか、これは大きな課題ですね。各地は、環境戦略やポリシーの策定に奔走しています。」

― ソマリランドにとって大切なことは何でしょうか?

「私は、持続可能な開発、環境対策、フェアトレードという3つの相互関連性がある課題にフォーカスするべきだと思っています」

― そのこころは?

「持続可能な開発は、経済的な開発を弱めるものではありません。環境問題や社会的正義、貧困問題や政治参加(もちろん女性も!)といった幅広い課題の解決を念頭に開発していくことです。環境問題は、今のことだけを考えて見逃すことは絶対にできません。何が最重要課題かという点で世界が同意できないことがあるとしても、どれをとっても世界共通の課題であることは明らかです。ごく一部の例を挙げるなら、土壌劣化、気候危機、生物多様性の減少、汚染問題ー。そしてフェアトレード。新たな形の不平等さや利権などを起こさないように注意すれば、フェアトレードは社会の不平等や格差拡大に対する解決ツールの一つと言えます。」

井戸と一緒に設置した貯水タンク

― ボスウェルネスの事業がソマリランドの持続可能な開発につながっていることについて、どんなおもいですか?

「ボスウェルネスを通して世界中の皆さんとソマリランドの持続可能な開発を進めていけることを心から嬉しく光栄に思いますし、小さな村や生産者とのプロジェクトを進めてきた経験から、さらに拡大していくことに自信があります。持続可能な開発は、人間と環境の良い相互関係、国の政治的安定に大きな結果をもたらすと確信しています。皆さん、この道のりの仲間になってくれてありがとう。」

ソマリランドから届いた樹脂とマハディ、バーモント州の蒸留所にて